この論文は, ミカンハダニに起因するアレルギーについての最初のものである. ユズ栽培従事者のなかに, その栽培, とくに収穫に際してアレルギー症状の発現がみられた. ユズにはミカンハダニの寄生が認められた. アレルギー症状を訴える12名を対象としてミカンハダニから抽出したアレルゲンエキスおよびヒョウヒダニエキスを用いて皮内反応とRASTを施行した. 皮内反応では12名中10名がミカンハダニに, 12名全員がコナヒョウヒダニに陽性であった. RASTでは7名がミカンハダニに陽性で, このうちの6名はヒョウヒダニ属に陽性であった. RASTがミカンハダニに陽性の血清を用いてELISA inhibitionを施行した. ミカンハダニで強く inhibitされるが, コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニではまったく inhibitされない血清と, ミカンハダニにやや強く inhibitされるものの, コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニにもinhibitされる血清があった. 以上の結果から次の結論が得られた : 皮内反応とRASTがミカンハダニに陽性の7名はミカンハダニに感作されている. ミカンハダニには固有のアレルゲン成分とともにヒョウヒダニ属と共通するアレルゲン成分が存在する.