アレルギー
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血清中に肝細胞増殖もしくは保護因子の存在を証明したCrow-Fukase症候群の1例
伏見 智久井上 敦矢彦沢 裕之高 昌星柳澤 信夫
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1995 年 44 巻 11 号 p. 1311-1316

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抄録

症例は67歳の女性, 多発神経炎, 肝脾腫, 胸腹水, 心嚢水を認め, M蛋白陽性であることから Crow-Fukase症候群と診断した. ステロイド剤による治療で臨床症状ならびに検査所見は改善した. 本症における肝腫大の病態について検索するため, マウスの肝細胞を治療前患者血清, 治療後患者血清, 対照血清にて培養した. 治療前患者血清で培養した肝細胞が有意に多数残存していた. また肝生検を施行し肝組織には特に異常を認めなかった. 以上から Crow-Fukase症候群における肝腫大は肝細胞の増殖によるものであり, 患者血清中には肝細胞を増殖もしくは保護する因子が存在すると考えられた. また治療前に肝細胞増殖因子が軽度上昇しており, 治療後に正常化していた.

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© 1995 日本アレルギー学会
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