アレルギー
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水銀感作に関連する要因についての疫学的研究
佐藤 一博日下 幸則柳原 誠上田 惠一森 富男宮越 伸治
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1995 年 44 巻 2 号 p. 86-92

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抄録

医大生156名 (年齢22.7±2.4, 平均±標準偏差, 男性113名, 女性43名)を対象として水銀感作に関連する要因を疫学的に調べた. アレルギー症状・ライフスタイル・家族歴に関する質問票, 水銀・うるし・ニッケル・パラフェニレンジアミン (PPD) のパッチテスト, さらにダニ・スギ花粉抗体測定の血液検査を行った. パッチテストの陽性率は, うるし(11.1%, 8/72)・ニッケル(5.1%, 8/156)・PPD(2.6%, 4/156)に対して, 水銀に感作されている者の頻度は, 156名中20名 (12.8%) であった. アレルゲン特異的抗体陽性及びアレルギー疾患既往歴は水銀感作陽性とは無関係であった(x^2検定). 水銀に感作している者は化粧品, シャンプー, 石鹸, 整髪剤などによって皮膚の症状が現れたことがある者が有意に(p<0.005)多かった. 水銀に感作している者は虫歯を金属を用いて治療している本数が有意に多く, 尿中水銀濃度も有意に高かった (片側t-検定, p<0.05). これらのことから水銀感作に水銀暴露という環境因子が関与していることが示唆された.

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© 1995 日本アレルギー学会
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