アレルギー
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喘息患者の Disodium Cromoglycate (DSCG) 投与による気管支粘膜における炎症細胞浸潤と接着分子発現について
星野 誠中村 豊
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1995 年 44 巻 6 号 p. 593-601

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抄録

気管支喘息の治療として, disodium cromoglycate (DSCG) の作用を気管支粘膜における細胞浸潤に及ぼす効果と接着分子発現の観点より検討した. アトピー型喘息患者9名を対象に DSCGエアロゾル(8mg/日)投与前後に気管支粘膜生検を行った. 得られた組織より好酸球を抗EG2, 好中球を抗NP57, 肥満細胞を抗AA1, Tリンパ球を抗CD4, CD8, CD3さらにマクロファージを抗CD68抗体で染色した. 同時に, 血管内皮に発現する接着分子として intercellular adhesion molecule-1 (ICAM-1), vascular cell adhesion molecule-1 (VCAM-1), endothelial leukocyte adhesion molecule-1 (ELAM-1)と P-selectinを染色し, さらにICAM-1については気管支上皮にっいても強度を判定した. DSCG投与により好酸球, 肥満細胞, Tリンパ球およびマクロファージ数は有意に減少を認めICAM-1, VCAM-1とELAM-1の発現も有意に抑制された. さらにICAM-1とTリンパ球, VCAM-1と好酸球との間に有意な相関が認められた. 以上の結果よリ, DSCGの抗炎症作用のひとつとして接着分子の発現抑制による気道への細胞浸潤減少作用が示唆された.

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© 1995 日本アレルギー学会
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