アレルギー
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気管支喘息の診療における鼻粘膜細胞診 : 鼻粘膜スメア細胞診上の肥満細胞, 好酸球, 好塩基球とRAST法によるダニに対する特異IgE抗体価との関連の検討
平野 清美下条 直樹斎藤 公幸星岡 明勝木 利行本間 季里河野 陽一新美 仁男
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1995 年 44 巻 9 号 p. 1117-1124

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抄録

生後半年〜12歳までの気管支喘息患者39名を対象として, 鼻粘膜スメア細胞診を行い, スメア上に出現している肥満細胞, 好酸球, 好塩基球の出現とRAST法によるダニに対するIgE抗体価との関連を解析し, 以下の結果を得た. (1) 鼻粘膜スメア細胞診上での好酸球の出現数はダニに対するRASTスコアと明らかな相関が認められた. (2) ダニ抗原に対する感作が血清学的に検出されるよりも以前に, また鼻粘膜スメア好酸球の出現に先だって, 鼻粘膜スメア上に肥満細胞の出現が観察された. (3) 好塩基球は, 好酸球の出現してきた症例においてのみ, 好酸球が出現してきた後に認められた. 以上より, 鼻粘膜スメア細胞診はアレルギー反応が起こる粘膜局所での細胞の動態を観察でき, 特に肥満細胞の存在は気道アレルギー疾患における局所でのアレルギー性炎症を早期に診断する方法として, 有用と考えられた.

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© 1995 日本アレルギー学会
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