1995 年 44 巻 9 号 p. 1140-1149
自己回帰・要素波解析を用いて, 気管支喘息患児40名(2〜16歳, 平均年齢±標準偏差は9.4±4.1歳)における心電図R-R間隔, 収縮期血圧, 拡張期血圧の揺らぎを解析し, 次の結果を得た. (1) R-R間隔における, 重症群の低周波帯域パワ-(パワーとは揺らぎの活動の分散)および高周波帯域パワーは低下した. (2) 収縮期血圧の低周波帯域パワーには重症度による差はなかった. R-R間隔の低周波帯域はβ機能と副交感神経機能を, 高周波帯域は副交感神経機能のみを, また収縮期血圧の低周波帯域はα機能を示すと考えられている. われわれはかつて喘息児のβ機能低下を報告したが, 本稿では重症群は副交感神経機能低下を明らかにした.