1997 年 46 巻 10 号 p. 1007-1012
加熱脱ovomucoid (以下OM) 卵白の低アレルゲン化をRAST inhibition, 皮膚テスト, 卵白経口負荷試験を用いて検討した。卵白凍結乾燥粉末 (以下凍乾末), OM, ovalbumin (以下OA) をdisc抗原とし, 卵白凍乾末, 加熱卵白, 加熱脱OM卵白をinhibitorとしてRAST inhibitionを実施した。卵白凍乾末は全てのdiscに対して有意な抑制がかかったが, 加熱卵白はOM-discに対してだけ有意な抑制をみ, 加熱脱OM卵白は全てのdiscに対して抑制はかからなかった。皮膚テストは56例を対象に, 経口負荷試験はそのうちの27例を対象に卵白凍乾末, 加熱卵白, 加熱脱OM卵白を用いて実施した。プリックテストで卵白凍乾末陽性だった25例中, 加熱卵白陽性は7例 (陰性化率72%), さらに加熱脱OM卵白陽性は3例 (陰性化率:卵白凍乾末に対して88%, 加熱卵白に対して57%) であった。20分間パッチテストでもほぼ同様の結果が得られた。経口負荷試験では卵白凍乾末陽性の8例中加熱卵白陽性は4例 (陰性化率50%), 加熱脱OM卵白では全例陰性だった。以上から加熱脱OM卵白の低アレルゲン化が証明された。