アレルギー
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新しい免疫系-胎生初期から出現するVα14NKT細胞
谷口 克佐藤 宏崔 俊青河野 鐡
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1997 年 46 巻 12 号 p. 1216-1223

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抄録

これまでの免疫系とは異なるリンパ球系列に属すると考えられるリンパ球, Vα14NKT細胞が同定された。この細胞は1) これまで共発現することがないと考えられてきたNK細胞とT細胞の抗原受容体をともに発現する。2) T細胞抗原受容体はVα14Jα281遺伝子によって支配されるただ一種類のみである。3) すべての純系マウスは例外なくほぼ同じ頻度でこのVα14NKT細胞が存在する。とくに骨髄ではCD3陽性細胞の50%, 肝では20%, 脾では5%を占める。4) 胸腺非依存性に分化し, 胸腺形成前の胎生9.5日から出現する。5) 均一なVα14TCRはNKT細胞分化に必須で, このVα14TCR遺伝子欠損マウスはNKT細胞の欠失を, Vα14TCRの強制発現は通常のT細胞分化の抑制とNKT細胞の選択的分化を促す。6) 細胞膜抗原の発現は特徴的でNK^+, B220^+, Mac-1^+, HSA^+, CD44^+, CD45R^<low>, MEL-14^<low>であることなどから既知のリンパ球とは異なるものと考えられた。さらにこの細胞はIL-12の直接の標的細胞でこれまで考えられていたNK細胞やCD8^+CTLではなく, 肝や肺への癌の転移を強力に抑制することが分かった。

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© 1997 日本アレルギー学会
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