アレルギー
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末梢血白血球からのHistamine遊離に対するCyclic Nucleotide Phosphodiesterase Isozyme Type III/IV阻害薬, SDZ ISQ 844の影響
堀越 正二郎今井 俊道岡本 美智子菅田 彰伊平 慶三足立 満
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1997 年 46 巻 5 号 p. 426-432

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抄録

末梢血白血球からのhistamine遊離に対するcyclic nucleotide phosphodiesterase (PDE) isozyme type III/IV阻害薬, SDZ ISQ 844及びsalbutamolの影響を検討した。6名の健常者より得られた白血球浮遊液をcalcium ionophore A23187 (Ca-I, 10^<-6>M) により刺激し, histamine遊離に対するSDZ ISQ 844 (10^<-7>M, 10^<-6>M, 10^<-5>M), salbutamol (10^<-7>M, 10^<-6>M, 10^<-5>M) 及び両者同一濃度の混合の影響を検討した。さらに, 細胞内cyclic AMPの変化についても検討した。Ca-I刺激によるhistamine遊離はSDZ ISQ 844 10^<-6>M (p<0.05) 及び10^<-5>M (p<0.01) により用量依存的に抑制されたが, salbutamolはいずれの用量においてもhistamine遊離を抑制しなかった。SDZ ISQ 844及びsalbutamol混合の場合も10^<-6>M (p<0.05) 及び10^<-5>M (p<0.01) において用量依存的にhistamine遊離は抑制され, 10^<-5>MではSDZ ISQ 844単独に比較して抑制作用は有意に増強された (p<0.05)。細胞内cyclic AMPはSDZ ISQ 844 10^<-5>Mにより有意に増加したが (p<0.01), salbutamolはいずれの用量においても細胞内cyclic AMPを増加させなかった。SDZ ISQ 844及びsalbutamol混合の場合は10^<-6>M (p<0.05) 及び10^<-5>M (p<0.01) において用量依存的に細胞内cyclic AMP は増加し, 10^<-5>MではSDZ ISQ 844単独に比較して細胞内cyclic AMPの増加は有意に増強された (p<0.01)。以上より, PDE isozyme type III/IV阻害薬, SDZ ISQ 844は細胞内cyclic AMPの増加と関連してhistamine遊離を抑制するが, salbutamolは10^<-5>Mまでの濃度においてはhistamine遊離を抑制せず, 細胞内cyclic AMPも明らかには増加させないことが示された。また, SDZ ISQ 844及びsalbutamolを混合することによりhistamine遊離の抑制は増強されるが, これは細胞内cyclic AMPの増加増強作用と関連することが示唆された。

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© 1997 日本アレルギー学会
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