アレルギー
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気管支喘息患児リンパ球のダニ抗原特異的Interferon-γ (IFN-γ), Interleukin 4 (IL-4) 産生に対するTYB-2285及びその代謝物の効果
黄 国輝林 雅晴中島 忠吉沢 いづみ川野 豊敷島 康史野間 剛
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1997 年 46 巻 6 号 p. 502-510

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抄録

ダニ抗原 (Dermatophagoides farinae, Df) で誘導される気管支喘息患児末梢血リンパ球の免疫応答に与えるTYB-2285及びその代謝物の効果について検討した。TYB-2285及びその代謝物には, 高濃度の場合, 軽度のリンパ球の芽球化反応を誘導する作用が認められたが, 薬理学的濃度ではダニ抗原で誘導される気管支喘息患児リンパ球の芽球化反応に対する抑制作用が認められた。またTYB-2285及びその代謝物は, Con A (concanavalin A) で誘導されるリンパ球の芽球化反応には, ほとんど影響を与えなかった。以上より, TYB-2285及びその代謝物はCon Aによる芽球化反応を抑制するほどには強力ではないが, ダニ抗原刺激で誘導される芽球化反応を抑制する程度の作用をもつと考えられた。interferon-γ (IFN-γ) の産生の検討では, 気管支喘息患児リンパ球をダニ抗原で刺激すると, TYB-2285及びその代謝物はダニ抗原刺激で低下を示した患児のIFN-γ産生を健康者レベルを越えて濃度依存性に増強した。またinterleukin 4 (IL-4) 産生の検討では, 気管支喘層、患児リンパ球をダニ抗原で刺激すると有意なIL-4産生細胞の増加を認めたが, この増加はTYB-2285の添加培養で有意に抑制された。以上からTYB-2285及びその代謝物は, 薬理学的濃度では, ダニ抗原で誘導される増殖反応を抑制し, ダニ抗原刺激で低下したIFN-γの産生を回復増強させ, またIL-4産生細胞を抑制することにより, IgE産生系などの免疫応答を調節している可能性が示唆された。

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© 1997 日本アレルギー学会
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