アレルギー
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アトピー性疾患における末梢血Memory CD4^+T細胞のL-Selectin発現
山下 仁丹野 恭夫
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1998 年 47 巻 11 号 p. 1168-1175

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抄録

L-selectinは, 白血球のホーミングレセプターとして知られている接着分子のひとつであり, 白血球の血管壁における緩い接着とrolling現象を起こさせる.我々は, アトピー性疾患における抹消CD4^+リンパ球のL-selectin発現の特徴を明らかにする目的で, フローサイトメトリーによる解析を行った.アトピー性気管支喘息患者(BA)7例, アトピー性皮膚炎患者(AD)10例, アレルギー性鼻炎患者(AR)9例, および健常成人(Control)10例を対象とし, 末梢血リンパ球についてモノクローナル抗体を用いた3カラー解析を行った.その結果, L-selectin陽性memory CD4^+T細胞百分率は, Control(38.0%)と比較すると, BA(64.0%)およびAD(62.0%)が有意に高く, AR(50.9%)も高い傾向を示した.またL-selectin陰性memory CD4^+T細胞百分率は, Control(29.2%)と比較すると, BA(18.3%)およびAD(11.6%)が有意に低く, AR(21.1%)も低い傾向を示した(括弧内は平均値).このことは, L-selectin陽性memory CD4^+T細胞がTh2タイプのサイトカイン産生パターンを示すという報告(Kaneganeら, 1996)と考え合わせると, 末梢血中の増加したTh2様細胞が病変局所へ浸潤する過程で血管外遊出のためにL-selectinを発現している可能性を示唆している.

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© 1998 日本アレルギー学会
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