アレルギー
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耳鼻咽喉科アレルギー外来受診小児におけるスギ花粉症の感作と発症状況
増田 佐和子竹内 万彦湯田 厚司大川 親久鵜飼 幸太郎坂倉 康夫
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1998 年 47 巻 11 号 p. 1182-1189

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抄録

三重大学附属病院耳鼻咽喉科アレルギー外来を受診した15歳以下の小児のスギ花粉症の感作・発症状況を検討した.1981年, 1991年, 1996年の皮内反応, 血清中特異抗体陽性率は, HDはいずれも80〜90%であったが, スギは1981年にはそれぞれ43%, 26%, 1991年にはいずれも58%と増加しており, その殆んどがHDを重複抗原としていた.過去7年間の小児患者155名においてはHD単独アレルギーは32.2%, スギ花粉症単独発症例は8.6%, HDとスギ感作合併例のうち花粉飛散期の自覚症状のないものは17.4%, あるものは23.5%, HD・スギ・カモガヤアレルギーは6.1%であった.全体では男児が68%を占めたが, スギ花粉症単独例では女児の割合が有意に高かった.スギ感作例のうち花粉飛散期の自覚症状のないものは27.8%を占めた.以上より小児アレルギー性鼻炎患者でスギに感作されているものの割合は過去20年間で明らかに増加していることが確認された.季節憎悪を自覚していないスギ感作例については今後の経過観察に注意が必要と考えられた.

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© 1998 日本アレルギー学会
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