アレルギー
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白血球遊走試験による薬疹の検討
阿部 学宇野 勝次
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1998 年 47 巻 12 号 p. 1264-1272

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抄録

薬疹疑診患者202例に対して白血球遊走試験(LMT)による起因薬剤の検出同定を行った.LMTは白血球遊走促進因子(LMAF)を46.5%, 白血球遊走阻止因子(LMIF)を46.0%検出し, LMAFとLMIFのどちらか一方を78.2%検出した.また, LMAFは患者血清無添加群で22.8%, 患者血清添加群で33.7%検出され, 患者血清添加群で有意に高く検出された.LMAFまたはLMIFを検出した薬剤193剤のうち, β-ラクタム剤が27.5%, 解熱鎮痛消炎剤が18.7%を占め, β-ラクタム剤はLMAF, 解熱鎮痛消炎剤はLMIFが有意に高く検出された.以上の結果から, 薬疹の発現にLMAFとLMIFの2つの因子が関与し, LMTによるアレルギー起因薬剤の同定に両因子の検出は価値があり, 患者血清添加によりLMAFの産生が亢進すると考えられる.また, β-ラクタム剤と解熱鎮痛消炎剤による薬疹は発現機序が異なることが示唆される。

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© 1998 日本アレルギー学会
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