アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
乳幼児アトピー性皮膚炎における多項目プリックテストの再評価 : 臨床的意義及び母親の評価
楠 隆細井 進是松 聖悟浅井 康一原崎 正士古庄 巻史
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 47 巻 8 号 p. 726-733

詳細
抄録

3カ月以上, 2歳未満の乳幼児アトピー性皮膚炎患者につき, 初診時に食事系, 吸入系合わせて8項目にわたる皮膚プリックテスト(skin prick test, SPT)を実施し, IgE, radioallergosorbent test (RAST)や重症度との相関につき検討した.また母親にアンケート調査を実施し, SPTに対する受け止め方について血液検査と比較して評価してもらった.項目別では, 卵白に対する陽性率が91%と圧倒的に高かった.半数以上の症例で2項目以上の項目に陽性を示し, 3項目以上の多項目に陽性となるものも約3割の症例にみられた.SPTとRASTの一致率は全体で78.6%と良好であった.多項目陽性例では, アトピー性皮膚炎の重症度が高い傾向を認めた.母親はSPTを評価しており, 特に多項目についてすぐに結果が出ることを長所と感じるものが多かった.また, 次の子がアトピー性皮膚炎となった時にどのような検査を希望するか, との質問に対しては9割以上の母親がSPTを希望した.特に3人に1人の母親は血液検査をする前にSPTの施行を希望しており, SPTをスクリーニングの手段として活用することを望んでいた.SPTは, 侵襲が少なく乳幼児でも外来での簡便に施行できる検査法であり, RASTとは異なる有用性があることより, 今後特に乳幼児期のアレルギー検査法の一つとして再評価する必要があると思われた.

著者関連情報
© 1998 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top