アレルギー
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気管支喘息における徐放性テオフィリン薬の気道炎症に対する効果
足立 満美濃口 健治美田 俊一國分 二三男鈴木 一佐野 靖之秋山 一男安原 一
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1998 年 47 巻 8 号 p. 734-743

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抄録

近年, 徐放性テオフィリン薬は抗炎症作用を有することが報告されている.そこで今回我々は, 喘息症状が自然増悪したβ_2刺激薬の頓用あるいは連用使用している喘息患者19名(T群), および中等量の吸入ステロイド薬(400〜800μg/日)で治療している喘息患者17名(T+S群)を対象に, 徐放性テオフィリン薬を6週から8週間1日400〜600mg投与し, その前後で臨床症状, 呼吸機能, 誘発喀啖中の好酸球比率, EG2陽性好酸球比率, ヒスタミンに対する気道過敏性につき検討した.さらに血中テオフィリン濃度を, 気管支拡張作用を示すために必要な有効血中濃度と考えられている10μg/mL以上と未満の群に患者を分け同様な検討を施行した.そのうち, 本検討を終了したのはT群17名, T+S群13名であった.徐放性テオフィリン薬の投与により, 両群ともに臨床症状, 誘発喀啖中の好酸球比率およびEG2陽性好酸球比率が有意に改善した.呼吸機能では, 起床時のPEF値は両群とも有意な増加を認めたが, 外来で測定したFEV_1値には有意差が認められなかった.また, ヒスタミンに対する気道過敏性は治療前後で有意な変化は認められなかった.血中テオフィリン濃度を10μg/mL以上の群(平均13.9±0.94μg/mL)と未満の群(平均7.16±0.74μg/mL)に分け比較検討しても, 誘発喀啖中の好酸球比率とEG2陽性好酸球比率は両群共に治療後有意に低下した.以上より, 徐放性テオフィリン薬は吸入ステロイド薬の使用の有無にかかわらず, 血中濃度が5μg/mLから10μg/mLの低用量でも一定の抗炎症作用を有し, 軽症および中等症気管支喘息の治療に有用であることが示唆された.

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© 1998 日本アレルギー学会
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