1999 年 48 巻 12 号 p. 1316-1321
本検討の目的は成人ダニ抗原過敏性気管支喘息における免疫療法の意義を検討することである.急速免疫療法により室内塵(house dust, HD)免疫療法が導入され,治療開始前と維持療法導入1年後における厚生省免疫・アレルギー研究班の"喘息の長期管理における重症度"の判定が可能であった50名の喘息患者についてretrospectiveな臨床的解析を行った.重症度ステップの改善が得られたのは27例(54.0%)であり,治療前にステップ3あるいは4であった症例,罹病期間が10年未満であった症例,また器質的気道閉塞を有さない症例で有効率が高率であった.有効例では喘息治療薬剤費用の節減作用が認められた.抗原特異的免疫療法は、適応症例を選択し充分な投与抗原量を用いて施行されれば,喘息重症度と医療費の軽減とをもたらすものと考えられた.