アレルギー
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小児気管支喘息患児と親又は保護者のQOL調査票の評価 : 徐放性テオフィリンドライシロップ投与前後における評価
近藤 直実深尾 敏幸平山 耕一郎坂本 龍雄鳥居 新平
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1999 年 48 巻 5 号 p. 533-545

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抄録

小児気管支喘息患児を持つ親又は保護者のQOL調査票を作成し, 健常児との比較, 反復再現性などの信頼性, 因子的妥当性について評価し, 本調査票は薬剤投与時に適用が可能であることを別報で報告した. 本報告は, テオフィリンドライシロップ3ヵ月投与前後の臨床症状とQOLの変化およびそれらの関連性について検討した. 喘息発作点数の推移(p<0.001)および臨床効果判定とも改善を示し, QOL 総合点は有意に向上した(p<0.01). QOLの経時的変化として, QOLの投与前後差および投与前比変化率[(投与後-投与前)/投与前]を発作点数差との相関係数で比較し, 投与前比変化率がより相関が良好であった. QOL項目と発作点数差の相関は, 身体的項目は相関が高く, 社会的項目と家族との関連項目は家族の思いなどを反映し, 相関が低かった. 感情との関連項目および個人の発展項目は相関せず, 個人の発展項目はさらに長期的な評価が必要と考えられた. 発作点数差の悪化・不変群と改善群に対するQOL総合点の投与前比変化率は有意差(p<0.01)を認め, QOLは喘息症状の変化に対応していた. 以上, 本QOL調査票は身体的症状のみならず小児の気管支喘息の全般改善度や発作点数では評価できない本人と家族に及ぼす影響や思いを把握でき, よりよい冶療のあり方を検討する上で有用であると考えられた.

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© 1999 日本アレルギー学会
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