1999 年 48 巻 5 号 p. 546-553
気管支喘息の病態におけるCandidaなどの常在真菌抗原に対するIgG抗体の関与については不明な点が多い. マイクロプレートのウエルにCandida粗抗原を固相化した後, Candidaに対するIgG抗体が検出された喘息患者血清を反応させてIgG抗体を固相化した. このウエルで好酸球を15時間培養すると脱顆粒が起こり培養上清中にEPXが遊離された. この遊離はIgG分画を除去した血清では全く認められなかった. 抗FcγRII抗体(anti-CD32)やanti-CD18は遊離を有意に抑制したが, 抗FcεRII抗体(anti-CD23)では抑制されなかった. また, Candida粗抗原と患者血清を反応させたIgG-免疫複合体による刺激でも遊離が認められた. Candidaの精製抗原であるmannan Aでは粗抗原と同様にEPXの遊離が起こったが, 血清中にIgG抗体が少ないacid proteaseでは遊離を認めなかった. 以上の結果から, 固相化されたCandida抗原と血清中のIgG抗体がFcγRIIを介して好酸球の脱顆粒を誘導し, mannan Aがこの反応に関係していることが明らかになった.