アレルギー
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気管支喘息患者におけるCRH負荷試験とACTH負荷試験の比較検討
岩崎 正田村 弦佐野 公仁夫大河原 雄一羽根田 カンナ白土 邦男
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1999 年 48 巻 6 号 p. 632-638

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抄録

気管支喘息(喘息)の治療において,副腎皮質ステロイドは最も有効な薬剤と評価されているが,その全身性投与は副腎皮質機能の抑制を引起こす.迅速ACTH負荷試験は,喘息患者の視床下部下垂体副腎皮質系(HPA系)の評価方法として従来用いられてきた.最近,ヒトcorticotropin-releasing hormone (CRH)が化学的に合成された.CRHの臨床的有用性を評価する目的で,今回我々は,17人の喘息患者(3名は同時に5〜10mg/day)を対象にACTH負荷試験とCRH負荷試験を比較した.両方の検査は,fluticasone propionate (FP)エアロゾル(800μg/day)吸入治療後,6カ月後に2週間の期間をあけて行われた.両方の検査の結果で有意差は認められなかった.そこで,対象者をCRH負荷後の血漿ACTH値の増加の程度でhigh responder群とlow responder群に分類したところ,low responder群ではCRH負荷試験時とACTH負荷試験時の最大血漿コルチゾール濃度に有意差を認めた.このように,ある患者群では,CRH負荷試験はACTH負荷試験と比較してより正確なHPA系の機能を評価しうることが示唆された.

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© 1999 日本アレルギー学会
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