アレルギー
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フリーラジカルに関与する酵素群の免疫性神経疾患における検討
酒井 寿明井上 敦高 昌星池田 修一
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2000 年 49 巻 1 号 p. 12-18

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抄録

フリーラジカルとは, 少なくとも一つの不対電子を持ち, 本来高い反応性を持ち, 潜在的に破壊性を持つ.フリーラジカルは脱髄において重要な役割を果たしている可能性がある.グルタチオンペルオキシダーゼ(GPxと略す)は, フリーラジカルの抑制に関与し, ミエロペルオキシダーゼ(MPOと略す)とラクトフェリン(LTFと略す)は生成に関与し, これらをELISA法で測定した.対象は, 多発性硬化症(MS)35例、Balo病2例, ギランバレー症候群10例HTLV-1関連脊髄症(HAM)25例である.グルタチオンペルオキシダーゼはMSの活動期(8.37±5.59μg / ml;p<0.05)において, 非活動期(5.05±2.44)と健常対照(5.41±1.40)より高値を示した.MPOはHAM(95.5±89.1;p<0.05)において, 健常対照(21.5±4.1)より高値を示した.LTFは他の疾患に比べ有意差は認めなかった.さらに, MPO, LTFは健常対照に比べ(MPO21.5±4.1, LTF0.69±0.32), Balo病で高値を示した(MPO487,762ng / ml, LTF2.58, 2.77).今回, 我々は初めてMSとBalo病で測定し, 両者でこれらの酵素の血中濃度が異なる傾向を表すことを示した.これらの結果より, MPO, LTFはBalo病の病勢を反映している可能性があり, GPxはMSの防御機能の亢進を示していると考えられた.

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© 2000 日本アレルギー学会
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