アレルギー
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喘息テレメディスンシステムによる入院の回避
國分 二三男中島 重徳伊藤 幸治牧野 荘平北村 諭福地 義之助眞野 健次佐野 靖之井上 洋西森田 寛福田 健秋山 一男足立 満宮本 昭正
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2000 年 49 巻 1 号 p. 19-31

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抄録

喘息管理は吸入ステロイド薬を中心とする抗炎症治療により飛躍的に向上した.しかし, 外来管理だけではコントロールできず重篤な発作により入院を繰り返す喘息患者が少なからず存在する.これまでに我々は, このような患者を対象に遠隔医療技術を用いて在宅における肺機能を正確に把握し, これに基づいて看護婦が主治医を補佐して継続的な個別の電話指導を行う「喘息テレメディスンシステム」による治療効果を検討してきた.今回, 入院リスクが高い患者を過去の緊急外来回数から選択し, 多施設比較対照試験によって本システムの入院の回避に対する有効性を検証した.その結果, 試験群と対照群の比較において, 入院回数に有意な差が認められ, 83%の入院が回避されることが確認されると共に, 肺機能, 症状も改善されることが示された.その理由として継続的な肺機能のモニターにより増悪が早期に検知され, 吸入ステロイド薬を中心とするコントローラー薬のコンプライアンスが維持され, さらにゾーンシステムに基づいて増悪の早期に適切なレリーバー薬にて対処され得たことが考えられた.

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© 2000 日本アレルギー学会
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