アレルギー
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小児気管支喘息におけるEosinophil Cationic Protein(ECP)の血清中濃度測定値と喘息発作の関係
石垣 信男益原 千加坂巻 規益子石川 尉子太田 久朗小池 林太郎三国 健一春名 英彦阿波 彰一
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2000 年 49 巻 11 号 p. 1093-1103

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抄録

血清ECP値を測定した気管支喘息患児(339名)の経過を約1年間観察し, 患児の背景, 喘息発作出現と血清ECP値の関係, 好酸球数, 血清総IgE値と比較した有用性につき検討した. 他のアレルギー疾患を合併しない気管支喘息患児では, 採血前後各2週間に発作のなかった群(無発作群)は発作を認めた群(有発作群)に比べて, 血清ECP値は有意に低値をとった. 有発作群でも, その後1年間発作のない症例では, 血清ECP値は有意に低億であった. 有発作群で血清ECP値が高かった症例でも, DSCGネブライザー吸入やBDP吸入を治療に加えることで1年間コントロールできた症例を認めた. 他のアレルギー性疾患を伴った気管支喘息患児の血清ECP値は低値の症例は喘息発作の出現は少なかったが, 高値例は一定の傾向はなかった. また, 今回の検討では血清ECP値と好酸球数, 血清総IgE値の間に有意な相関を認めたが, 血清ECP値が最もと喘息発作との関係が深かった. 以上のことから, 血清ECP値は特に, 測定時前後各2週間のアレルギーの活動状態を最も反映していた. そして, 他のアレルギー疾患を合併しない気管支喘息患児では採血後2週間の発作の予測も可能と思われた. よって, 定期的に測定することにより, 客観的に症状の改善度を把握でき, DSCGとBDP吸入などその後の治療方針の確立に有用と思われた.

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© 2000 日本アレルギー学会
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