アレルギー
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埼玉県下の気管支喘息患者2825例における治療とコントロール状態に関する自己評価の調査結果
永田 真山口 道也周東 寛寺師 義典磯野 一雄有賀 仁一和多 俊男金澤 実長尾 光修山本 恵一郎滝沢 敬夫
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2000 年 49 巻 7 号 p. 569-576

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抄録

埼玉県下の医療機関に通院中の成人気管支喘息患者に治療と疾患コントロール状態についてのアンケート調査を行った.調査は1998年9月15日から10月31日の間に行われ, 県下125医療機関から総数2825例の回答が得られた.全般的な状態が"大変悪い"または"悪い"とした回答が52.7%であった.状態が悪くないとした患者についても, その30.2%では労作時の息切れや喘息による夜間覚醒などの症状があるとの回答が得られた.吸入ステロイドは66.2%で用いられていたが, スペイサーの使用頻度はその59.6%にすぎず, また吸入量・回数を遵守しているとの回答は45.8%にすぎなかった.担当医師回答によれば35.7%でシスチニル・ロイコトリエン拮抗薬が用いられ, これは他の抗アレルギー薬使用率の総和(37.3%)と差がなかった.以上の成績は, 過半数の喘息患者でコントロール状態に満足が得られていないこと, また吸入ステロイドの手技・コンプライアンスのより徹底した教育の必要性を示唆するものである.

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© 2000 日本アレルギー学会
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