2000 年 49 巻 7 号 p. 577-584
乳児アトピー性皮膚炎(以下ADと略す)の発症, および病変拡大と炎症の関係を明らかにするため, 血中NO産物, IL-8, RANTESおよびeotaxinを測定した.血中NO産物値は, 乳児非AD児に比し, 皮膚病変の全身性の拡大とともに上昇傾向を認め, 全身性皮膚症状のある乳児AD患者において有意に高値であった.血中RANTES値および血中eotaxin値は全身性皮膚病変をもつ乳児AD患者において, 上昇傾向が認められた.以上から, アレルギー性炎症がADの全身性皮膚病変形成に重要であることが推測された.また, 血中NO産物はeotaxin値と有意な正の相関が認められた(r=0.615, p<0.001).これらのことから, NO産物が全身性AD形成に係わるアレルギー性炎症において重要な働きを担い, アレルギー性炎症の一つの指標となり得ると考えられた.