アレルギー
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ピークフローモニタリングを自己中止する喘息患者の臨床像の検討 : 8週間以上モニタリングを継続した患者例の解析から
月岡 一治田辺 直仁
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2001 年 50 巻 1 号 p. 15-20

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抄録

著者らは治療を開始する喘息患者に対し, 治療効果の判定と患者教育の為に, 重症度を問わず1日2回, 8週間のPEFモニタリング(PFM)の実施を指導している.8週以後PFMを自己中止していく患者について, その臨床像を検討した.対象は311名(男性145名, 15〜76歳, 女性166名, 17〜79歳)である.PEFモニタリング累積継続率曲線を解析したところ中止率は年間約19%であった.自己中止群60名(group A)は継続群251名(group B)にくらべて有意に現年齢(38.8±14.2歳, mean±S.D.)と初発年齢(29.8±19.6歳)が若かった.group Bの現年齢は46.2±16.7歳, 発症年齢は37.6±21.2歳であった.臨床症状とPEFの両方に基づいて評価される喘息重症度はgroup AとBとで有意差がみられないにもかかわらず, 臨床症状のみに基づいて判定される重症度は, group Aの方がgroup Bより明らかに軽症であった.Cox比例ハザードモデルによる多変量解析の結果, 患者の年齢が若いことと, 臨床症状のみに基づいて判定される重症度がPEFのみに基づいて判定される重症度よりも軽症であることが, PFMを自己中止しやすい患者の臨床的特徴であると思われた.

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© 2001 日本アレルギー学会
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