アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
ヒト気道上皮細胞のDNA合成に対するエンドセリンの効果 : MAP kinaseカスケードの役割
西村 和幸玉置 淳磯野 一雄青柴 和徹永井 厚
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 50 巻 12 号 p. 1131-1135

詳細
抄録

気道上皮細胞の増殖反応に対するエンドセリン(ET)の効果を明らかにするため, 細胞内DNA量を測定し, さらにMAP kinase(MAPK)カスケードの関与についても検討した.ヒト気道上皮培養細胞(16HBE cell)を用い, 無血清により増殖を停止させた後, ETの存在下で培養後, Hoechst 33258を用いたDNAの測定とMTT assayを行った.また, 抗リン酸化MAPK抗体によるWestern blot法にてMAPKの活性化を評価した.ET添加群では, コントロール群に比較してDNA合成量の増加と細胞増殖が認められ, Western blotにおいてもMAPKのリン酸化が観察された.また, これらの効果は, MAPK kinase阻害薬やET_A受容体拮抗薬により抑制された.以上の成績より, ETはヒト気道上皮細胞に対する増殖刺激となり, そのシグナル伝達経路としてET_A受容体を介するMAPKカスケードの活性化が関与しているものと考えられた.

著者関連情報
© 2001 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top