2001 年 50 巻 12 号 p. 1163-1170
成人気管支喘息の有病率が近年増加傾向にあることは日常診療の場においてしばしば語られるが, 日本, 特に中山間地における詳細なデータはまれである.その実態を把握, 解析するために熊本県免田町の高校生以上の住居者でその98.7%にあたる5066名を対象として, 質問票調査を主体とした臨床疫学的調査を行った.その結果, 喘息有病率は3.6%であることが明らかにされた.その性比は1.14:1で, 男性では10歳代と高年齢層(70歳以上)の2つのピーク, 女性では前者の年代に加え40歳代にもピークを認め3つのピークを有する特有の傾向が認められた.