アレルギー
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学童のぜん息様症状の有症率と環境諸因子との関連の評価
野原 理子香川 順清水 悟島田 勝則中井 千晶
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2001 年 50 巻 8 号 p. 657-666

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抄録

学童での気管支ぜん息の有症率の変化と, 環境を与える諸因子の検討を目的に, 横浜市内の3地区の学童(各年度平均4435人)を対象に1986, 1988, 1991年の3回, ATS・DLD日本版(環境庁版)に順じた質問票にて調査を行い次の結果を得た.1.有症率は男児で僅かに増加傾向(9.2〜9.6%)がみられ, 女児では横ばい, 男女比は1.7:1と男児で高かった.2.総体的な大気汚染濃度は鶴見区>中区>緑区であったが, 有症率は男児ではどの年も中区, 鶴見区, 緑区の順で高く, 女児は, 1986年は男児と同傾向, 1988年と1991年は鶴見区, 中区, 緑区の順であった.3.同一集団に対する追跡調査では, 男児は5〜6年生で有症率が減少し, 寛解は逆に増加していた.女児では3年生以降に減少し, 寛解はそれと逆に増加していた.4.関連因子に関しては, 全調査年で男女ともアレルギー疾患の家族歴, 既往, アレルギー素因, 2歳までの呼吸器疾患の既往, ぜん鳴および呼吸困難の既往, 食物または薬のアレルギーのあるものはないものに比し, オッズ比が有意に高かった.

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© 2001 日本アレルギー学会
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