アレルギー
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喘鳴を伴う乳児における血清Eosinophil Cationic Protein (ECP) 値の臨床的検討
三好 麻里
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2002 年 51 巻 12 号 p. 1147-1152

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抄録

喘鳴を有する乳児には,乳児喘息としてearly interventionを必要とする群と,自然軽快するのでover treatmentを控えなければいけない群があるが,実際にはその早期診断は困難なことも多い.そこで今回,喘鳴を伴うが,明確に喘息と診断できない乳児33名とコントロール11名の血清ECP値を喘鳴消失時に測定し,臨床症状および測定後3カ月間の経過を比較して早期診断の指標として有用であるかを検討した.測定後3カ月の間に喘鳴を繰り返したり,努力呼吸や高調性喘鳴を認め定型喘息と診断された群では,そのようなエピソードのなかった群に比較して血清ECP値が有意に高値であった.さらに,血清ECP値のcut off pointを20ng/mlとすると,測定時20ng/ml以上であった17例は全例3カ月後に喘息と診断された.血清ECP値は喘鳴を伴う乳児の早期鑑別診断の指標として有用と考えられた.

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© 2002 日本アレルギー学会
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