アレルギー
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アトピー性皮膚炎におけるスギ減感作療法
十字 文子小林 茂俊伊東 繁菅原 由人狩野 博嗣安枝 浩岩田 力
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2003 年 52 巻 11 号 p. 1081-1088

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抄録

アトピー性皮膚炎患者でスギ花粉陽性患者においてCryj 1 を用いてのCAST法によるロイコトリエン産生能を検討した.対象は小児6例(6〜15歳,平均11.4歳),成人16例(17〜56歳,平均29.5歳),コントロールは健康成人6例(平均28歳)である。Cryj 10.01〜10μg/mlにて,患者群はコントロールに比し,有意の高い刺激指数を示した(r<0.01)。この患者のうち減感作療法施行群(10例)と未施行群(12例)を比較すると施行群ではCryj 10.01〜10μg/mlと抗IgE刺激にても施行群が有意の低値を示した(それぞれP<0.05とP<0.01). 6例において減感作療法施行1年前後のCryj 1 によるロイコトリエン産生能を比較すると,それ以前より減感作療法を行っていた2例を除く4例ではCryj10.01μg/mlでは65.0%, 0.1では65.3%, 1では64.4%, 10では69.5%の有意の低下(P<0.05),また抗IgE刺激では79.9%の有意の低下が認められた(r<0.01).滅感作群では花粉のシーズンの発赤,そう痒の再発増悪も殆ど起こらず,外用剤の使用量も減少した.Rajka & LangelandによるADの症状指数も低下が認められた.

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© 2003 日本アレルギー学会
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