2003 年 52 巻 12 号 p. 1114-1121
重症の乳幼児アトピー性皮膚炎(AD)では,手足の蒼白・冷感を伴ったいわゆるレイノー様現象(RP)を合併した症例を時に経験する。この病態を解明するために,今回37例の乳幼児AD症例を対象として,皮膚重症度,末梢血好酸球数,血清エンドセリン(ET-1)および硝酸塩(N0_3)濃度を測定した.その結果,RP合併例(5例)は全て6ヵ月未満の乳児(男児)であり,皮膚スコアも高い症例であった.血清ET-1値も高値を示したが,血清N0_3値は高値を示す例はみられず,RPは血管収縮傾向の強い患児に発現しやすいことが明らかとなった.