2003 年 52 巻 12 号 p. 1132-1137
Respiratory syncvtial virus (RSV)による気管支炎,肺炎および細気管支炎の患児24例の尿中LTE_4値を測定し,アレルギー性疾患を有しない対照の値と比較した。RSV感染症患児の急性期尿は620±562pg/mg. crと対照の190±67pg/mg. crに比して有意に高値を示した(P<0.005).また回復期には急性期に比し尿中LTE_4値は低下する傾向を示した.しかし呼気性喘鳴,肺炎合併,アレルギー性疾患の家族歴,アトピー性皮膚炎の合併,呼気性喘鳴の既往のそれぞれの有無で急性期尿中LTE_4値に有意の差を認めなかった.またアレルギー学的検査では末梢好酸球数増多の有無で,あるいは血清総lgE値の高値ないしは血清特異lgE値陽性の有無で有意の差はなかった.以上の結果よりRSV感染症の病態にLTsが関与する可能性が示されたが,アトピー素因および呼気性喘鳴との直接的な関連は明らかではなかった.