アレルギー
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CAP-RAST法で比較したアレルギー外来受診小児におけるスギ花粉抗原感作状況の変遷 : 約15年前との比較
楠 隆宮野前 健井上 康広伊藤 正利吉岡 孝和岡藤 郁夫西小森 隆太平家 俊男中畑龍俊
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2004 年 53 巻 10 号 p. 1066-1070

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抄録

アレルギー外来通院小児におけるスギ花粉抗原感作状況の変遷を探るため, 約15年前の外来受診患者の保存血清88検体(過去群)と現在受診中の患者血清91検体(現在群)を無作為に抽出し, 総IgE値及びCAP-RAST法にてスギ花粉特異IgE抗体を同時に測定し比較した. スギ花粉感作(クラス2以上)率を比較すると, 現在群65.9%, 過去群46.6%で有意に現在群の感作率が高かった. 各群を6歳以下と7歳以上に分けて感作率を比較すると, 6歳以下では両群の感作率に有意差はなかったが, 7歳以上で有意に現在群の感作率が高かった. 以上より, 学童期までの低年齢の段階でのスギ花粉感作予防策が望まれる. わが国では最近, 特に小児期におけるスギ花粉症の増加が指摘されている. アレルギー外来受診小児を対象とした99年の我々の調査でも, スギ花粉感作率は年齢とともに上昇し, 小児期全体では53%の感作率を示した.

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© 2004 日本アレルギー学会
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