アレルギー
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Basidiomycetesによると考えられたアトピー咳嗽の1例とその職場環境における真菌アレルゲンとしての重要性
小川 晴彦藤村 政樹
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2004 年 53 巻 4 号 p. 430-434

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抄録

症例は28歳女性.慢性咳嗽を主訴に来院した.咳感受性が尤進し,気管支拡張薬による気道の可逆性はなく,メサコリン気道過敏性は正常範囲であった.咳嗽に対しては,β_2刺激薬による気管支拡張療法は無効であり,ヒスタミンH_1拮抗薬の効果も不十分であった.職場に出勤すると咳嗽が増悪したため,職場の環境落下真菌を検索したところBasidiomycetes(BM)が検出された.同真菌の抽出抗原による吸入負荷試験は陽性であった.環境に出現するBMのアレルゲンとしての重要性について検討するために,患者が勤務する職場の職員19名に対し,BMの抗原抽出液を用いた皮内テストを実施した.BMの即時型皮内反応は,職員では19名中6名(31.6%),健常者では29名中1名(3.4%)が陽性となり,職員の陽性率が有意(P<0.01)に高かった.無症状であっても環境にBMが存在すれば,BMの即時型皮内反応の陽性率が高くなり,ひいては,アレルギー性気道疾患を惹起する可能性が示唆された.

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© 2004 日本アレルギー学会
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