アレルギー
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寒冷地に居住する気管支喘息患者の冬期の症状に関する検討
長内 忍高橋 啓小笠 寿之中野 均大崎 能伸菊池 健次郎
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2004 年 53 巻 5 号 p. 508-514

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抄録

気管支喘息患者の寒冷曝露時の症状に関しては多くの報告があるが,本邦で最も寒冷な北海道北部に居住する喘息患者の冬期間の臨床症状については十分把握されていない.本研究では当科外来で治療中の気管支喘息患者に対して冬期の症状に関するアンケート調査を行いその実態について検討した.126名の気管支喘息患者に調査を行い,116名(男性52名,女性64名)より回答が得られた.62.1%の患者で冬期に寒冷曝露による喘息発作を自覚した経験があり,また19.0%の患者では吸入等の処置を要する症状があった.48.3%の患者は寒冷曝露時の呼吸器症状により日常生活に何らかの困難があると回答した.月別では5〜8月に喘息症状の増悪を経験した患者は30%以下であったのに対して,9〜4月では35%以上の患者が症状の増悪を経験していた.以上の傾向はアトピー型,非アトピー型ともに同様の傾向を示した.したがって寒冷地在住の喘息患者の生活の質の改善には冬期の呼吸器症状のコントロールが重要である.

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© 2004 日本アレルギー学会
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