アレルギー
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しめじ包装従事者に発症した過敏性肺臓炎の1例
谷口 浩和三輪 敏郎阿保 斉宮沢 秀樹能登 啓文内山 明央三輪 淳夫泉 三郎
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2004 年 53 巻 7 号 p. 696-699

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抄録

症例は52歳の女性で,職業はしめじの検査・包装業を6年間続けていた.乾性咳戦が出現したため,近医にて感冒として治療されたが,症状は不変であった.その1ヵ月後には発熱・労作時呼吸困難出現し当院内科を初診,胸部レントゲンにて両側全肺野に網状及び小粒状影が認められたため,精査目的で入院とした.経気管支鏡下肺生検で採取した組織では,肉芽腫と気腔内器質化物を伴う胞隔炎が認められた.過敏性肺臓炎と診断し,プレドニゾロン30mg/日の投与を姶めた結果,自覚症状は速やかに消失し,レントゲン上の異常所見も2週間後には消失した.しめじ抗原Lyophyllum karstに対する沈降抗体が陽性であったことと,職場に戻ると即座に乾性咳戦・呼吸困難等の症状が再出現したことより,この症例の原因抗原は,しめじである可能性が高いと考えられた.その後,彼女は仕事を辞めて,プレドニゾロンを徐々に減量し中止したが,再発は認められなかった.

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© 2004 日本アレルギー学会
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