アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
鼻正常者の鼻症状
奥田 稔大久保 公裕後藤 穣
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 54 巻 6 号 p. 551-554

詳細
抄録

【目的】くしゃみ, 水性鼻漏, 鼻閉はアレルギー性鼻炎非アレルギー性鼻炎だけでなく正常人にもみられる. 正常鼻の症状の定義は鼻炎の診断, 重症度分類, 治療効果の判定に必要である. 【方法】鼻症状がなく, 鼻の治療歴もなく, 現在かぜをひいていない235人を登録リストから抽出し, 自記式鼻症状調査票を用いて郵送法で調査した(抽出群). 別に4耳鼻科診療所を鼻以外の疾患のため訪れた患者で, 検査により鼻正常と診断された54人を同じ調査票を用いて調査した(対照群). 【結果】回答率は49.8%, 回答者117人であった. 対照群の鼻症状は抽出群のそれより少なかった. 正常人の鼻症状はないか, 一時的の鼻閉, 1日5回以下のくしゃみ, 省鼻があるが, 鼻かゆみ, 後鼻漏は少なかった. 症状があっても週4日以内であった. 【結語】広く用いられている重症度分類においてgrade(-)は症状なし(0)と定義されている. 今回の研究によれば, 症状はないか, "くしゃみや省鼻は1日1〜5回未満がたまにある, 鼻閉はあっても苦痛でない"という程度の有症を正常としてgrade(-)に含めてよいと結論できる. 従って治療による正常化もこれに従ってgrade(-)を定義してよい.

著者関連情報
© 2005 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top