アレルギー
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アリルイソプロピルアセチル尿素による固定薬疹の1例
脇坂 ちひろ飯豊 深雪
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2005 年 54 巻 6 号 p. 569-571

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抄録

アリルイソプロピルアセチル尿素(以下AIAU)は緩和な睡眠鎮痛作用をもつモノウレイド系の薬剤で多数の一般医薬品に配合されている. 今回我々は月経痛の度に内服していたイブA(R)に含まれていたAIAUによる固定薬疹の一例を経験したので報告する. 症例:46歳, 女性. 初診:2003年8月4日. 既往歴家族歴:薬剤アレルギーはない. 現病歴:約5年前より月経の度に口唇, 陰部, 手指に水疱, びらんが出現. これまで数件皮膚科を受診し単純性疱疹の診断でアシクロビルを投与されていた. また, 月経痛のため月経時にイブA(R), テプレノンを, 鉄欠乏性貧血のため時々クエン酸第一鉄ナトリウムを内服していた. 皮疹が肛囲や四肢にも広がってきたため, 症状出現の約3日後に当科受診. 現症:口唇に水疱, びらんを伴う発赤, 腫脹があり, 陰部, 肛囲, 両手指, 右前腕, 右臀部, 右大腿部後面, 左足関節部にも周囲に紅量を伴う水疱やびらんを認めた. また, 全身倦怠感もみられた. 病理組織像(右大腿部後面の水疱):表皮内に壊死した角化細胞が多数あり真皮表皮境界部は著明な空胞変性のため表皮下水疱を形成していた.

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© 2005 日本アレルギー学会
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