アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
乳児期から思春期までの小児におけるスギ花粉感作の実態
増田 佐和子藤澤 隆夫井口 光正熱田 純野間 雪子長尾 みづほ南部 光彦末廣 豊亀崎 佐織寺田 明彦水野 美穂子清水 正己東田 有智
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 55 巻 10 号 p. 1312-1320

詳細
抄録

【背景】近年,小児スギ花粉症の増加が指摘されている.しかし幼小児でのスギへの感作と花粉症発症の状況はよく解っていない.そこで,乳児から思春期までの小児のスギ花粉感作状況の調査を行った.【方法】243名のアレルギー疾患をもつ小児(8カ月〜16歳,中央値5歳)と137名の同疾患をもたない児(1カ月〜15歳,中央値4歳)についてスギ花粉,ヤケヒョウヒダニ,カモガヤ花粉,卵白,牛乳の血清中特異IgE抗体をCAP-RAST法で測定し,保護者記載による問診票とともに検討した.【結果】スギCAP-RAST陽性率はアレルギー疾患群で47.1%,非アレルギー疾患群で19.9%であった.スギ陽性率はアレルギー疾患群では3歳から5歳で急激に高くなっており,非アレルギー疾患群では幼児期から思春期にかけて徐々に増加していた.最年少のスギ陽性者は1歳11カ月のアトピー性皮膚炎男児であった.スギ陽性群では陰性群に比べ1〜3月生まれが占める割合が有意に高く,吸入抗原(ダニ,カモガヤ)の重複感作率が高かった.【結語】小児のスギ感作は就学前に成立するものが多い.今後,感作を回避するために乳幼児期からいかなる対策を立てていけばよいのか検討が必要である.

著者関連情報
© 2006 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top