アレルギー
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好酸球増多性肺疾患における血清総IgE値の検討
服部 健史檜澤 伸之高橋 大輔伊佐 田朗高橋 歩前田 由起子福居 嘉信今野 哲西村 正治
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2006 年 55 巻 6 号 p. 647-654

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抄録

【背景・目的】我々はアトピー素因の有無にかかわらず,喘息患者では健常者に比べ血清総IgE値が高いことを報告し,喘息発症の結果として抗原非特異的にIgEが上昇している可能性を推定した.今回,この総IgE値上昇に好酸球が関与している可能性を検討する為,好酸球増多を伴う肺疾患における血清総IgE値について検討した.【方法】健常人99例と喘息患者278例,急性好酸球性肺炎15例,慢性好酸球性肺炎患者21例を対象とし,総IgE値,末梢血好酸球数を比較した.何らかの吸入抗原に対し特異的IgE抗体陽性の場合をアトピー素因ありと判定した.【結果】急性及び慢性好酸球性肺炎患者においてアトピー素因や喘息の有無によらず総IgE値が上昇していた.特にアトピー素因のない好酸球増多性肺疾患群で,総IgE値と末梢血好酸球数とが有意に相関した(p<0.001).【結語】好酸球性肺炎や喘息といった好酸球増加を特徴とする疾患群においては総IgEの上昇がアトピー素因の有無によらず認められた.特にアトピー素因がない群においては末梢血好酸球と血清総IgE値との間に有意な正の相関関係を認め,総IgE値上昇の背景には増加した好酸球を介した抗原非特異的な上昇が関与している可能性も否定できない.

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© 2006 日本アレルギー学会
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