アレルギー
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スギ花粉症免疫療法の長期予後
奥田 稔
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2006 年 55 巻 6 号 p. 655-661

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抄録

【背景】スギ花粉症患者免疫療法終了後の長期追跡予後調査により免疫療法の治癒の可能性を研究した.【方法】平均3.6年(1コース)の免疫療法実施後の患者485人を1996年から2005年まで,著者の症状投薬スコア,タイプ分類法で追跡した.調査は質問紙法によった.患者により実施後の期間,調査回数に変異があったので,追跡年度,追跡季節間の平均値,タイプを治療終了後のスコア,タイプと比較した.3年以上経過しその間3回以上予後調査できた100人の患者を信頼性の証明に用いた.【結果】治療効果は年次飛散花粉数の影響をうけたが,治療中止後10年間の平均スコア,タイプには終了時のそれを維持した.10年後42%の患者は無症状無投薬であった.免疫療法は長期寛解を期待できる治療法と結論した.長期経過の調査には飛散花粉数の影響から,同一人の複数回の追跡が必要で,横断的調査は問題があると推定された.

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© 2006 日本アレルギー学会
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