アレルギー
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好中球エラスターゼによる気道傷害に対するストレス誘導蛋白の抑制効果
伊藤 晴方関村 研之佐々木 信人似内 郊雄中村 豊鹿内 俊樹毛利 孝山内 広平井上 洋西
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2006 年 55 巻 7 号 p. 820-826

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抄録

【目的】生体防御機構におけるストレス誘導蛋白に注目し,好中球エラスターゼ(以下NE)による気道上皮細胞傷害時の熱ショック蛋白(以下Hsp)の機能解析を行った.【方法】sodium arseniteによるHsp-70の誘導およびその機能解析のため,リポソーム法にてHsp-70をヒト気道上皮細胞に導入しその機能を検討した.発現はウエスタンブロット法およびフローサイトメトリー法により解析し,NEによる上皮傷害は培養上清中LDH活性とアポトーシスおよびネクローシス細胞をフローサイトメトリー法により検討した.【結果】気道上皮細胞のHsp-70発現は,sodium arseniteにより増強し,Hsp発現抑制物質quercetinによりその作用を一部減少させた.培養上清中LDH活性はNEにより上昇した.このLDH活性上昇はsodium arseniteで抑制され,また,quercetinによりsodium arseniteの抑制作用は減弱した.リポソーム法によるHsp-70導入により,NEによる気道上皮細胞のネクローシスおよびアポトーシスを抑制した.【結論】Hsp-70はNEによる気道上皮細胞傷害を抑制し気道を防御していると考えられ,今後,炎症性気道疾患の病態解明のみならず治療応用の可能性も示唆される.

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© 2006 日本アレルギー学会
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