2008 年 57 巻 2 号 p. 138-146
【背景・目的】植物性食物の口腔アレルギー症候群(OAS)は花粉との交叉反応により発症することが多い.横浜近郊において春に花粉が飛散するハンノキとスギの感作とOAS発症の間に相関があるか検討した.【方法】2005年に通院した皮膚アレルギー患者337例(M:F=167:170, 平均年齢33.4歳)にハンノキとスギの特異IgE抗体(CAP-FEIA:CAP)を測定した。ハンノキCAP陽性者にはrBet v1とrBet v2のCAPも実施した.さらにOAS発症と花粉感作との相関の有無を統計学的に解析した.【結果】CAP陽性率はハンノキで23.4% (79例),スギで73.7% (244例)であった. rBet v1とrBet v2のCAPは55例に実施し,各々の陽性率は43.6% (24例), 27.3% (15例)であった. OAS発症はハンノキやrBet v1の感作と有意な相関(p<0.001)を認めたがスギ感作との相関はみられなかった。【結語】横浜近郊でのOAS発症にはハンノキ花粉感作が関与することが示唆された.