アレルギー
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ブラインド法乾燥食品粉末食物負荷試験に関する検討(第2報) : 牛乳負荷試験
小俣 貴嗣宿谷 明紀今井 孝成田知本 寛海老澤 元宏
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2009 年 58 巻 7 号 p. 779-789

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抄録

【目的】当科でブラインド法にて行われた牛乳乾燥食品粉末を用いた食物負荷試験について臨床的検討を行った.【方法】1995年から2005年に当科にて入院でブラインド牛乳乾燥食品粉末負荷試験を施行した計83試験の患者背景,負荷試験結果,および負荷試験陽性症状について検討した.【結果】負荷試験陽性は37例で陽性率は44.6%であった.陽性症状は皮膚,呼吸器,消化器症状の順に多く,アナフィラキシーショックを呈したのは8.1%であった.症状出現時間は1時間以内が75.7%であった.症状出現後,薬剤投与は56.8%に行われ,アドレナリンは9例に使用され全例アナフィラキシーあるいはアナフィラキシーショックから回復した.ブラインド負荷試験陽性37例のうち19例に,さらに加熱牛乳オープン負荷試験を施行した.その結果18例がブラインド負荷試験と同様に陽性症状を呈し,1例のみが加熱牛乳摂取可能であった.負荷試験陽性群,陰性群の比較ではskin prick test(SPT)陽性率と気管支喘息(BA)合併率で陽性群が有意に高値であった.SPTの感度は97.3%,特異度17.4%であり,IgE CAP-Radioallergosorbent test(IgE CAP-RAST)の感度は100%,特異度は15.2%であった.【結語】(1)ブラインド負荷試験は耐性獲得の診断に有用であり,負荷試験結果に加熱の影響があったのは1例のみであった.(2)牛乳負荷試験では呼吸器症状の出現が多かったが,アナフィラキシー出現時にアドレナリンを適正使用することにより安全に負荷試験を行うことができた.

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© 2009 日本アレルギー学会
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