2010 年 59 巻 6 号 p. 699-705
【背景・目的】小児発症喘息を遷延化させる因子と,寛解後再発させる因子を検討する.【方法】15歳以下で発症し,喘息が20歳以後まで持ち越された608名(小児発症喘息)と,20歳以下で発症し,最低2年以上寛解後再発した286名(成人再発喘息)の臨床像を比較する.【結果】多重ロジステック分析を行った結果,小児発症喘息と関連がある因子は,(1)アレルギー性鼻炎の既往ないし合併(p=0.001),(2)血清総IgE高値(300IU/ml≦)(p=0.007)であった.成人再発喘息と関連がある因子は(1)女性(p=0.001),(2)若年発症(p=0.036),(3)喫煙の既往(既喫煙者,喫煙者)であった(p<0.001).【結語】アレルギー性鼻炎の既往ないし合併と血清総IgE高値は小児発症喘息の遷延化因子の一つであり,女性であることと喫煙は,再発に関与する危険因子の一つであると推測された.喫煙は,避けることができる因子である.