2013 年 62 巻 6 号 p. 698-703
症例は13歳男児.運動後のアナフィラキシー症状を2度呈し,food-dependent exercise induced anaphylaxis (FEIAn)を疑われ当院にて運動誘発試験を行った.2回のエピソード前の食事に共通してリンゴが含まれていたこと,リンゴのプリックテストが陽性であったことから,リンゴ摂取後に運動負荷試験を施行したところ,鼻汁,くしゃみ,咽頭の違和感口蓋垂の腫脹を認め,リンゴによるFEIAnと診断した.その後,リンゴ摂取は禁止せず摂取後の運動を控えていたが,約5カ月後にはリンゴ加工品摂取のみでアナフィラキシー症状が出現するようになった.FEIAnの予後に関する報告は少なく,中長期的な予後は不明である.リンゴという特殊性の高いアレルゲンによるFEIAnの中には,本症例のように運動と関連のないアレルギー反応へと変遷する症例もあり,注意深く経過観察する必要があると考えられた.