アレルギー
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食物経口負荷試験における新たなスコアリングシート"Anaphylaxis Scoring Aichi (ASCA)"の提案と検討
日野 明日香前田 徹羽根田 泰宏小林 貴江安井 正弘漢人 直之伊藤 浩明
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2013 年 62 巻 8 号 p. 968-979

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抄録

【目的】食物経口負荷試験における誘発症状の重症度を定量的に評価する新たなスコアシステム「アナフィラキシースコアリングあいち:Anaphylaxis Scoring Aichi (ASCA)」を作成し,有用性を検討した.【方法】ASCAは,誘発症状を呼吸器,皮膚,消化器,神経,循環器の5つに分類し,主観症状,客観所見に分けて重症度順に配し,臓器スコア(1〜60)とした.一連の負荷試験における各臓器の最高スコアを合計し,総合スコア(最高240)と定義した.当科で2011年4〜8月に行った負荷試験376件を評価し,陽性253例(年齢1-16歳,平均5.3±3.2歳)についてガイドラインに記載されているグレード分類と比較検討した.また,当科における対症療法の適応を,ASCAスコアを用いて検討した.【結果】総合スコアは重症度をよく反映したが,グレード2,3の間では点数の大きな幅と重複が認められた.総合スコア60点以上はグレード4,5に相当し,3つ以上の臓器症状を含んでいた.重症例は全て皮膚または呼吸器症状を含み,早期の初期治療開始にも関わらず,進行していた.【結論】ASCAは,経口負荷試験における有用なツールになりうることが示唆された.

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© 2013 日本アレルギー学会
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