アレルギー
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アレルギー性鼻炎の臨床研究 : pathophysiology and immunology
大久保 公裕
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2014 年 63 巻 10 号 p. 1317-1324

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抄録

アレルギー性鼻炎では鼻粘膜の神経原性炎症が生じている.その主役はサブスタンスP(SP)をはじめとする神経ペプチドであるが,分解酵素である中性エンドペプチデース(NEP)はその活性を低下させる.神経ペプチドはブラディキニン(BK)により神経より放出され, BKでの反応が増加する花粉飛散期では両者の血管への作用が増強すると考えられる.しかし,アレルギー性鼻炎の症状をSPやBKの受容体拮抗薬を用いても制御することは現段階では不可能であり,今後の検討が必要である.一方,アレルギー性鼻炎は免疫疾患が基本にある典型的I型アレルギー疾患で,抗原特異性が発症の条件となる.このため抗原特性を持つ根治的治療と認識されているのはアレルゲン免疫療法のみで,アレルギーの感作にかかわる誘導相に治療効果が作用する.皮下免疫療法(subcutaneous immunotherapy ; SCIT)は1911年に初めてNoon LがLancetにイネ科花粉症に対し施行し,現在まで続いている.しかし残念ながらわが国では,アナフィラキシーなどの副作用の面からかアレルギー性鼻炎に対しSCITは限られた施設だけで行われているのが現状であり,欧米よりも普及していない.一般的にこの免疫療法を広めるために,現在,より安全な新しい舌下免疫療法が注目を集めている.

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© 2014 日本アレルギー学会
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