アレルギー
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パンに含まれる亜麻の実を原因としてアナフィラキシーを発症した1例
小泉 佑太新井 秀宜長瀬 洋之加納 誠也立澤 直子佐川 俊世山口 正雄大田 健
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2014 年 63 巻 7 号 p. 945-950

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抄録

今回我々はパンに含まれる亜麻の実を原因とするアナフィラキシー症例を経験した.症例は29歳,女性.自分で焼いたライ麦パンを含む複数の食品を摂取中に,消化器症状,続いて呼吸器症状,皮膚症状が出現した.このライ麦パンは二つの材料(パン粉と種子)から作る通販の製品であり,初めて食べるものであった.食材の抽出液で施行した即時型皮膚反応と好塩基球脱顆粒試験を施行した結果,パンに含まれる亜麻の実が原因アレルゲンであると判明した.亜麻の実特異的IgEも陽性であった.国内では亜麻の実特異的IgEは保険適応のある項目に含まれず測定が難しいため,原因特定のためにまず行う検査として抽出液を用いた即時型皮膚反応が重要である.本症例は,亜麻の実を原因とするアレルギー症状の国内最初の報告例である.今後,亜麻の実を食する機会が増えるに従い,亜麻の実が即時型アレルギーの重要な原因になりうることに留意する必要がある.

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© 2014 日本アレルギー学会
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