2015 年 64 巻 1 号 p. 57-62
症例は9歳の男児.鶏卵アレルギーに対する急速経口免疫療法(rush oral immunotherapy,rush OIT)を行い,治療開始22日目に加熱鶏卵1個に到達し,23日目に退院した.加熱鶏卵1個を維持量としたが,退院同日より鶏卵摂取後の腹痛・嘔吐を認めた.末梢血白血球分画で好酸球の著明な増加を認めたため,維持量を減らして経過をみた.しかし,嘔吐による体重減少が出現したために,第38病日に鶏卵摂取をすべて中止した.第45病日に,上部消化管内視鏡下粘膜生検を行い,好酸球の浸潤を確認し,好酸球性食道・胃腸炎と診断した.経口免疫療法を実施している児に,頑固な消化器症状を認めた場合には,本疾患を念頭に入れることが必要である.